月曜日, 9月 24, 2007

CSR(社会的責任)に対しての取り組みを考える

    CSR(社会的責任)に対しての取り組みを考える
       荒井 裕之(あらい ひろゆき)

 ここ数年欧米を中心に、企業が環境問題や人権問題に対して真剣に取り組む例が目立ってきている。
 環境の汚染や森林乱伐による温暖化の拡大など、企業の営利追及によって地球そのものが破壊されていることが社会的な問題になってきている。
 また東南アジア諸国の先進国企業の工場で、児童が不当に安い給与で働いていることが問題になっている。
 こうした企業の営業活動は、社会全体に悪影響をもたらすとして、考えられたコンセプトが、「 corporate socialresponsibility CSR」という概念である。
 最近では持続可能なという意味の「sustainable」という言葉を用いる例が目立ってきている。
 資本主義の理論では、本来利潤を追求する株式会社が、社会の利益( 環境保護や人権など) など倫理的な概念を取り入れる傾向にある。
 欧米では、企業年金が株式投資に大きなシェアを持っている。労働者を母体とする企業年金は、90年代から投資先企業の選定に際して、単に利益だけを追求する企業だけでなく、社会利益を重要視する経営戦略を持つ企業に重要視するようになっている。
 こうした社会的責任を重要視する投資を、SRI(social responsibility investment)という。

 欧米におけるSRI の投資手法は、
「社会にとってネガティブな産業を排除。タバコ、酒、ギャンブル、動物迫害、原子力発電に関連する事業は無条件で排除。
企業倫理に基づいた統治システムで、不法・違法行為と関連する可能性の可否を評価。
環境配慮型のビジネスモデル、もしくは環境配慮型のポリシーを評価」。
 という方法で投資先企業を絞る。
 SRIの手法で運用するファンドも欧米には多数みられる。
 日本を含めてアジアでのファンドはまだ少ない。
 しかし株式市場におけるCSRの影響力の拡大は続いている。
 香港の大福証券がSRIファンドを運用しているが、このファンドは設立の2002年以降、250%のパフォーマンスを示している。

taifook securities Kingsway sri fundトップ5の投資先リスト
 このファンドがSRIの手法で選定したナンバーワン企業はチャイナモバイル(941) 二位のチャイナエバブライト( 中国光大集団 257) は環境関連ビジネスのコングロマリット。
 汚水処理やごみ処理発電、メタン発電などを中国全土で展開中である。
 中国における工場煤煙や工場排水による環境汚染や資源乱開発については、日本でも時折報道される。
中国政府も環境汚染の問題は、経済成長の持続可能な成長の大きな阻害になると考えており、空気汚染、水質汚染の防止に乗り出している。環境に負担のかかる石炭発電から環境配慮型の発電である風力やメタン、天然ガス発電への移転を促進している。
 先日上場した中国高速伝動(658) も人気である。
 同社は中国における風力発電のギアの90%を占めている。
 環境配慮型のビジネスが今後伸びるのは間違いないが、私はそれ以上に企業統治( コーポレートガバナンス) の徹底化が企業経営には必要であると考えている。
 企業統治( コーポレートガバナンス)とは、企業が法令や自社で決めた倫理事項を潤巣する仕組みことである。
 最近、日本においても違法行為が元で大幅な業績低下を余儀無くされ、大幅な株価低下をもたらした事例が複数みられた。
 経営者がCSRを徹底していれば起こり得なかった事態であろう。
 日本ではまだCSRは「お題目」レベルである。欧米など国際的に競争している企業はSCR の軽視は致命傷になるので、基準作りからリスク管理まで徹底している。
 しかし認識の浅いアジア圏ではこれからの課題だ。

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