読む~「中国人の愛国心-日本人とは違う5 つの思考回路」
文/佐藤 研
中国人の愛国心
著者/王敏
PHP 新書/ PHP 研究所社刊
定価/ 700 円(税別)
著者は中国人を理解するための5 つのキーワードを提示している。「愛国心」「歴史」「徳」「中華」「受容と抵抗」である。
まず「愛国心」。この「愛国心」という言葉を聞いただけで日本人はアレルギー反応をおこす人がいるだろう。中国人の愛国心と日本人の愛国心の間には深い溝がある。日本も戦前は「愛国心」を声高に叫んでいた。しかし戦争に破れ、反省の中から日本人は「愛国心」という言葉を過去のものとして葬り去りたい、忘れ去りたいと思うようなったと感じられる。日本人が愛国心という言葉にこうした感覚を持っていることは中国人には不思議であろうが、事実である。ほとんどの日本人は「日本が好きです」と言うが「日本を愛しています」とはあまり言わない。
さて、中国人の愛国心について著者はこう述べる。「中国においては、『愛国心』は大人になるための条件であるとともに、人間にとってきわめて価値の高いものであると考えられている。ただし、中国人にとっての『愛国』という言葉の意味は、日本人が使う『愛国』とは違っている。」
中国の愛国の始まりは四書五経の一つ「大学」(紀元前五世紀頃) にある言葉「修身斉家治国平天下」と考えられるそうで、自分と国を大切にすることの重要性が述べられている。
「中国では『国を愛することは、自分を愛することでもある』と教えられる。そのため愛国心を持つことは、他人のためではなく、自分のためだという意識がとても強い」
中国の「愛国心」は長い歴史を持ち中国人の血にしみついたものといえようか、なにも社会主義になったから「愛国心」が強調されているわけではないらしい。ただ行き過ぎた愛国主義は中国内でも反省材料としてあるようではある。
次に「歴史」。「言葉の背景には文化がある。同じ文字を使っていても、背景が違っていれば意味するものも違ってくる。『歴史』という言葉も、日中ではニュアンスが違っているのだ。」
中国人はよく「歴史的に見れば」という言葉を使うが、日本人は「国際的に見れば」という言い方をする。この中国人の「歴史的に見れば」は歴史を生きたものとして、現在も使っているということであり、単なる教養だと思いがちな日本人とは違う。中国人にとっての「歴史」は現在進行形である。
「中国人が歴史認識、歴史認識としつこく迫るのは『歴史』というものをとても重く見ているという文化的な背景による。必ずしも日本への政治圧力のためだけに持ち出しているわけではないことは、知っておいてほしいと思う。」
この本は中国人と日本人の間にある溝を、誤解が生まれる土壌を指摘したものである。お互いに同じような顔をしているので、ついつい考え方もあまり違わないだろうと思いがちなのだが、同じ言葉、漢字が別の意味、内容で使われていることがある。それは心の姿も違っているということでもある。又、中国人は過去を水に流したりしない、日本人にはシツコイと感じられるが、これは中国人の歴史観である。隣国同士の中国と日本である、互いの良さ、互いの欠点を知りつきあっていきたいものである。
火曜日, 9月 25, 2007
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